観光客は知らないパプアニューギニアの禁忌。現代も続く魔女焼殺事件の恐怖

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観光客は知らないパプアニューギニアの禁忌。現代も続く魔女焼殺事件の恐怖

21世紀に実在する魔女狩り

「魔女狩り」と聞けば、中世ヨーロッパの暗い歴史を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、信じがたいことに、21世紀の現代においても「魔女」として告発され、命を奪われる人々が存在する国があります。それが、美しい自然と多様な部族文化で知られるパプアニューギニアです。

観光ガイドには絶対に載らない、住人だけが知るパプアニューギニアの禁忌。それは、根強く残る呪術信仰と、それに伴う凄惨な暴力です。日本語の情報はほぼ皆無ですが、現地の報道や国際人権団体のレポートを読み解くと、そこには現代社会の常識が一切通用しない、底知れぬ恐怖が広がっています。

2013年ケパリ・レニアータ事件の惨劇

この問題が世界的に報じられるきっかけとなったのが、2013年に起きたケパリ・レニアータ事件です。当時20歳だった彼女は、幼い少年の命を呪術で奪ったという根拠のない疑いをかけられました。医学的な死因は病気であったにもかかわらず、村人たちは彼女を「魔女」と断定したのです。

群衆によって引きずり出された彼女は、凄惨な拷問を受けた末に、白昼堂々、多くの人々が見守る中で火を放たれました。この事件の最も恐ろしい点は、一部の狂信的な集団による犯行ではなく、ごく普通の村人たちが「正義」を執行するかのように加担していたという事実です。

呪術師と疑われた女性たちの火刑

パプアニューギニアの一部地域では、病気や事故、突然死などの不幸な出来事はすべて「サンゴマ」と呼ばれる呪術師や魔女の仕業だと信じられています。誰かが亡くなると、その原因を特定するために呪術師が呼ばれ、特定の人物が「魔女」として名指しされます。

名指しされるのは、多くの場合、立場の弱い女性や未亡人、あるいは他所から移住してきた人々です。一度疑いをかけられれば弁明の余地はなく、自白を強要するための拷問が行われ、最終的には魔女の焼殺という最も残酷な方法で処刑されることが少なくありません。現地の言葉で語られる生々しい証言記録には、身内ですら報復を恐れて助けに入れないという地獄のような光景が描写されています。

年間数百件に及ぶ呪術関連殺人の実態

ケパリ・レニアータ事件は氷山の一角に過ぎません。現地のフォーラムやNGOの報告書を読み込むと、呪術に関連する暴力や殺人は年間数百件に上ると推測されています。被害者の多くは声を上げることもできず、闇から闇へと葬り去られています。

さらに恐ろしいのは、近年では携帯電話やSNSの普及により、魔女狩りがより組織化され、広範囲に拡散しているという点です。「魔女」の噂は瞬く間に広がり、暴徒化した群衆を止めることは警察でさえ困難な状況に陥っています。近代的なテクノロジーが、皮肉にも古代からの呪術信仰を加速させるツールとして使われているのです。

法律と伝統の衝突がもたらす絶望

パプアニューギニア政府もこの事態を重く見ており、1971年に制定された「呪術法」を2013年に廃止しました。この法律は、呪術の存在を法的に認め、呪術による殺人をある程度正当化する余地を与えていたためです。現在では、魔女狩りによる殺人は通常の殺人罪として裁かれるようになっています。

しかし、法律が変わっても、人々の心に深く根付いた伝統的な信仰を変えることは容易ではありません。警察が介入しようとしても、村全体が口を閉ざし、加害者を匿うケースが後を絶ちません。近代的な法制度と、古代から続く呪術信仰が激しく衝突し、解決の糸口が見えない絶望的な状況が続いています。

筆者の考察:呪術信仰の根深さ

この伝承や事件を調べていく中で、筆者が特にゾッとしたのは、加害者たちに「罪悪感」が全く欠如しているという点です。海外の文献を突き合わせると、彼らは殺人を犯しているのではなく、「コミュニティを悪から守るための正当な防衛」だと本気で信じていることが浮かび上がります。

私たちが暮らす現代社会の常識からすれば、魔女の存在など荒唐無稽に思えるかもしれません。しかし、彼らの世界観においては、呪術は目に見える現実の脅威なのです。異なる価値観が交わることのない深い断絶に、人間の心理の底知れぬ恐ろしさを感じずにはいられません。観光地としての美しい顔の裏側に潜む、この暗い現実がいつの日か終わることを願うばかりです。

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