エチオピアの闇に潜む被差別カーストの呪い
観光ガイドには絶対に載らない、住人だけが知る深い闇がエチオピアには存在します。美しい自然や独自のキリスト教文化で知られるこの国ですが、その裏側には古くから根付く強烈な呪術信仰が息づいているのです。
特に現地の人々が口にすることすら恐れるのが、特定の血統にまつわる呪いの伝承です。日本語の情報はほぼ皆無ですが、現地のコミュニティでは今なお実生活に暗い影を落としており、決して過去の迷信として片付けることはできません。
ブダとは何か?恐るべき邪眼の持ち主
エチオピアの伝承において「ブダ」と呼ばれる存在は、単なる悪霊や妖怪ではありません。彼らは人間の姿をして社会に溶け込みながら、他者に災いをもたらす力を持つとされる人々のことを指します。
ブダの最も恐ろしい能力は、その視線だけで相手を呪う「邪眼」です。彼らに嫉妬されたり、恨みを買ったりすると、見つめられただけで原因不明の病に倒れると信じられています。アムハラ語のフォーラムを読み解くと、現代でも体調不良の原因をブダのせいだと本気で語り合う現地の声が多数見受けられます。
鍛冶屋や陶工の血統にかけられた烙印
このブダの正体について、現地では特定の職業に就く人々、特に鍛冶屋や陶工の血統がそうであると見なされてきました。火や土を操り、無から有を生み出す彼らの技術は、古くから魔術的なものとして畏怖と差別の対象になっていたのです。
彼らは社会の周縁に追いやられ、一般の人々との通婚も避けられてきました。鉄を打つ音が呪いの儀式であるかのように語られ、彼らが作った器には邪悪な念が込められていると信じる者も少なくありません。この根深い偏見が、ブダという呪いの伝承をより現実的で生々しい恐怖へと変えています。
邪眼で人を病気にし、魂を喰らう
ブダの邪眼に魅入られた者は、急激な衰弱に見舞われます。現地の伝承によれば、ブダは被害者の生命力を少しずつ吸い取り、最終的には死に至らしめるとされています。これは単なる肉体の病ではなく、魂そのものが喰われている状態だと解釈されています。
恐ろしいことに、ブダは自らの正体を隠すため、親切な隣人を装って近づいてくることもあります。食事を共にしたり、何気ない会話を交わしたりする中で、密かに邪眼の呪いをかけていくのです。誰がブダであるか確証が持てないという疑心暗鬼が、コミュニティに底知れぬ恐怖を植え付けています。
夜の闇に紛れ、ハイエナに変身する
さらに不気味なのは、ブダが夜になるとハイエナに変身するという伝承です。エチオピアにおいてハイエナは死肉を漁る不浄な動物として忌み嫌われていますが、ブダは夜な夜なこの獣の姿となり、墓場を徘徊しては死体を掘り起こして喰らうと語り継がれています。
現地の古い記録には、夜中にハイエナを撃ち殺したところ、翌朝になって近所の鍛冶屋が同じ部位に銃創を負って死んでいたという不気味な逸話が残されています。昼間は人間として生活し、夜は獣となって死肉を貪るという二面性が、ブダの怪異をより一層おぞましいものにしています。
筆者の考察:差別の歴史が生んだ実体のある恐怖
この伝承を調べていく中で、筆者が特にゾッとしたのは、ブダが架空の怪物ではなく、実在する特定の人々を指しているという点です。海外の文献を突き合わせると、未知の技術に対する畏怖が、やがて強烈な差別と呪いの信仰へと変貌していった過程が不気味なほど鮮明に浮かび上がります。
呪いというものは、時に人間の悪意や社会の歪みから生まれます。エチオピアのブダは、単なるオカルト話にとどまらず、人間の心に潜む排他性や恐怖が具現化したものと言えるでしょう。エチオピアの呪いは、今もなお現地の闇の中で静かに息を潜めているのです。
