中国の学生の間で密かに流行する危険な遊び
観光ガイドには絶対に載らない、住人だけが知る深い闇が中国の学校には存在します。放課後の薄暗い教室や、夜の寮の部屋で、学生たちが声を潜めて行うある儀式があります。それは単なる肝試しや遊びの範疇を超え、時に取り返しのつかない事態を引き起こす危険な行為として、現地の教育現場でも深刻な問題として扱われています。
日本語の情報はほぼ皆無ですが、現地のSNSや学生向けのフォーラムを読み解くと、この儀式に手を出してしまった若者たちの悲痛な体験談が数多く見つかります。彼らが呼び出してしまうのは、決して遊び半分で触れてはいけない存在なのです。
筆仙(ビーシエン)とは何か
この危険な儀式は「筆仙(ビーシエン)」と呼ばれています。文字通り、筆(ペン)に仙人、あるいは霊を降ろすという降霊術の一種です。必要な道具は紙と一本のペンだけという手軽さから、好奇心旺盛な学生たちの間で瞬く間に広まりました。参加者は向かい合って座り、一本のペンを共同で握りしめ、特定の呪文を唱えることで霊を呼び出します。
呼び出された霊は、参加者の質問に対してペンを動かし、紙に書かれた文字や記号を指し示すことで答えるとされています。しかし、現地のオカルト愛好家たちの間では、呼び出されるのは決して高位の霊などではなく、未練を残して彷徨う悪霊であるという見方が支配的です。安易な気持ちで呼び出した結果、霊がペンから離れず、参加者の精神を蝕んでいくという報告が後を絶ちません。
日本のこっくりさんとの不気味な類似点
この筆仙の儀式は、日本の「こっくりさん」と非常に似た構造を持っています。紙に文字を書き、複数人で道具に触れ、霊の力によってそれが動くというプロセスは共通しています。しかし、中国語のフォーラムを深く読み込むと、筆仙にはこっくりさんにはない特有の恐ろしさが隠されていることがわかります。
こっくりさんが硬貨という無機質な物体を使うのに対し、筆仙はペンという「文字を書く」ための道具を直接握ります。そのため、霊の意志がよりダイレクトに参加者の手に伝わり、時には参加者の意志を完全に奪って、異常な速度で紙を真っ黒に塗りつぶすほどの力を見せると言われています。この直接的な接触が、霊障をより深刻なものにしていると考えられています。
「帰ってください」と言えない時の恐怖
筆仙において最も恐ろしい瞬間は、儀式を終わらせようとする時です。霊に帰ってもらうためには、丁重に「筆仙、筆仙、お帰りください」とお願いし、ペンが特定の場所に戻るのを確認しなければなりません。しかし、霊が帰ることを拒否した場合、絶望的な状況に陥ります。
現地の掲示板に書き込まれた体験談によると、霊が帰るのを拒んだ時、ペンは異常な重さを持ち、参加者の手から離れなくなるといいます。無理やり手を離そうとすると、激しい頭痛や吐き気に襲われ、最悪の場合は意識を失うこともあります。霊を帰すことができなかった参加者は、その後も幻聴や幻覚に悩まされ続けるという、終わりのない恐怖が待っているのです。
学校で厳しく禁止された実際の事例
この筆仙の流行は、単なる都市伝説の枠を超え、現実の社会問題にまで発展しています。中国のいくつかの地域では、学生の精神的な健康を著しく害するとして、学校側が公式に筆仙を禁止する通達を出した事例が存在します。これは、単なる噂話ではなく、実際に集団パニックや不登校を引き起こした結果としての措置です。
ある地方の学校では、夜の寮で筆仙を行っていた数名の女子生徒が、突然泣き叫びながら暴れ出し、病院に搬送されるという事件が起きました。現地のローカルニュースでも小さく報じられたこの事件は、筆仙の危険性を如実に物語っています。学校側は徹底的な持ち物検査を行い、儀式に使われるような紙やペンの持ち込みすら厳しく制限したと言われています。
筆者考察:なぜ彼らは呼び出してしまうのか
海外の文献や現地のフォーラムを徹底的に突き合わせると、この筆仙という降霊術が、単なる恐怖体験を求める遊びではないことが浮かび上がってきます。厳しい競争社会に置かれた中国の学生たちが、学業のプレッシャーや人間関係の悩みを抱え、すがるような思いで筆仙に答えを求めている側面が見え隠れするのです。
この伝承を調べていく中で、筆者が特にゾッとしたのは、彼らが呼び出しているのが外部の悪霊ではなく、彼ら自身の抑圧された負の感情そのものかもしれないという点です。極限のストレスがペンを通じて具現化し、集団の狂気へと変貌していく過程は、どんな幽霊の話よりも生々しい恐怖を感じさせます。筆仙は、現代社会の闇を映し出す鏡なのかもしれません。
