ジッダの未完成ビルが放つ異様な恐怖
サウジアラビアの第二の都市ジッダ。紅海に面し、近代的な高層ビルが立ち並ぶこの美しい街の片隅に、地元住民が絶対に近づかない未完成の廃墟ビルが存在します。観光ガイドには絶対に載らない、住人だけが知る禁忌の場所としてひっそりと佇んでいます。
日本語の情報はほぼ皆無ですが、現地のフォーラムを読み解くと、このビルが単なる放置された建設現場ではないことがわかります。夜になると奇妙な光が灯り、誰もいないはずの階から不気味な声が響くというのです。華やかな都市の影に潜む、サウジアラビアの心霊スポットの真髄がここにあります。
不可解な建設中止の理由
このビルは当初、豪華な商業施設やオフィスが入る予定で、鳴り物入りで建設が進められていました。しかし、ある時期を境に工事は突如としてストップし、巨大なコンクリートの骨組みだけを残して、そのまま放置されることになります。
表向きは資金繰りの悪化や権利関係の複雑なトラブルとされていますが、アラビア語のローカル掲示板では全く異なる理由が囁かれています。建設作業員たちが次々と原因不明の体調不良に陥り、現場で不可解な死亡事故が多発したため、恐怖に駆られた労働者たちが全員逃げ出してしまったというのです。
廃墟に棲みついたジンの噂
サウジアラビアをはじめとする中東地域では、人間とは異なる次元に存在する霊的な存在「ジン」の信仰が深く根付いています。このジッダの廃墟ビルは、いつしか悪意を持ったジンの巣窟になっていると噂されるようになりました。
ジンは人のいない廃墟や不浄な場所、そして暗がりを好むとされています。建設途中で放棄され、暗く静まり返ったコンクリートの空洞は、彼らにとって格好の住処となったのでしょう。地元の人々は、日中であってもビルの前を通る時は目を逸らし、呪いを避けるようにコーランの一節を呟きながら足早に通り過ぎるといいます。
夜間に入った若者たちの戦慄の体験
どこの国にも、都市伝説の真偽を確かめようと肝試しを試みる命知らずな若者はいるものです。数年前、地元の若者グループが深夜にこのジッダの廃墟ビルに侵入しました。彼らはスマートフォンのライトだけを頼りに、手すりのない危険な階段を上っていきました。
しかし、中層階に差し掛かった時、彼らは信じられない光景を目撃します。コンクリートの壁に不気味な黒い影が蠢き、耳元でアラビア語ではない未知の言語の囁き声がはっきりと聞こえたのです。パニックに陥った彼らは転がるように逃げ出しましたが、そのうちの一人は数日間にわたって40度近い高熱にうなされ、夜な夜な何者かに首を絞められる悪夢に苦しんだと語っています。
サウジのSNSで拡散される恐怖の映像
この若者たちの戦慄の体験談は、サウジアラビアのSNSを通じて瞬く間に拡散されました。さらに、別の侵入者が撮影したとされる短い不鮮明な動画も出回っています。その映像には、真っ暗なフロアの奥で、赤く光る二つの眼のようなものがゆっくりと動く様子が映り込んでいました。
動画の真偽は定かではありませんが、現地のネットユーザーたちの間では「本物のジンを捉えた呪われた映像だ」として恐れられています。現在でも、このビルに関する話題は定期的にSNSで再燃し、決して近づいてはいけない最恐の場所として認知され続けています。
筆者の考察:未完成の空間が招く怪異
この伝承を調べていく中で、筆者が特にゾッとしたのは、ジンが「未完成の場所」を好むという点です。完成された建物には人間の生活の営みがあり、活気がありますが、建設途中で放棄された空間は、人間界と異界の境界線が極めて曖昧になっているように感じられます。
海外の文献や現地のオカルトフォーラムを突き合わせると、中東の廃墟にまつわる怪談には不気味な共通点が浮かび上がります。それは、ジンが物理的な危害を加えるだけでなく、人間の精神の隙間に入り込み、徐々に正気を奪っていくという恐怖です。ジッダの廃墟ビルは、まさにその境界線に開いた巨大なブラックホールなのかもしれません。
