京都市中京区 壬生――その名に沈むもの 導入 京都市中京区の西寄りに、壬生という地名がある。いまでは住宅地と商業地が混じり、阪急の駅や通り名が日常の輪郭を整えているが、この土地の名を口にするとき、古い京都の層が静かに浮かび上がる。壬生塚、壬生寺、壬生狂言、新選組の屯所跡。観光の記憶として知られるこれらの名の下に、もっと古く、もっと湿った時間が横たわっている。地名はただの住所ではない。往々にして、その土地が何を見て、何を抱え、何を隠してきたかを、短い音に凝縮している。…お気づきだろうか? 壬生という二文字は ...