京都市伏見区 桃山――甘い名の下に沈む、土地の記憶 導入 「桃山」という名を聞けば、多くの人は豊臣秀吉の築いた城郭の華やぎや、桃の花が咲くやわらかな丘陵を思い浮かべるだろう。だが、この地名は、ただ美しいだけの響きではない。京都市伏見区桃山は、古くから交通の要衝であり、山すそに集落が張りつき、寺社、墓地、戦乱の痕跡、そして近世以降の都市の拡張が幾重にも重なった土地である。地名の明るい印象の奥には、長い時間をかけて積み上がった生と死の層がある。…お気づきだろうか? 「桃山」は、単なる景観の名ではなく、権力と信 ...